freee人事労務の評判とできることできないこと
freee人事労務について、口コミを調べてみると概ね高評価です。
- 「給与計算、年末調整が楽になった」
- 「初心者でも簡単に使える」
- 「UIが使いやすい」
- 「設定が大変だがなれるととても便利」
といった口コミが見られます。
同時に、
- 「アルバイトやパートの時給の給与計算では使いづらい」
- 「必要な機能が付いていなかった」
といった低評価の口コミもあります。
実際のところ、freee人事労務では何ができて、何ができないか、これまで導入した経験から書いてみようと思います。
導入検討の一助になれば幸いです。
freee人事労務の特徴
freee人事労務は、
- 給与計算
- 年末調整
- 勤怠管理
- マイナンバー管理
- 人事マスタ管理
- 入退社管理
- 保険手続き
など、労務関連業務を包括的に行う事が出来るソフトです。
「社内で散らばる労務管理の業務は、freeeで一気通貫で行って対応コストを削減。」することができます。
引用元:https://www.freee.co.jp/hr/labor-management/
freee人事労務で出来ること、出来ないこと
freee人事労務で出来ること、出来ないことを業務スケジュールごとにお伝えしていきます。
毎月の業務
勤怠管理
可/否 | 内容 | 備考 |
○ | 打刻による勤怠集計 | ベーシックプランから |
○ | 勤怠ワークフローの設定 | プロフェッショナルプランから |
○ | 管理監督者・裁量労働制・フレックスタイム制・変形労働制の設定 | プロフェッショナルプランから |
○ | 既存の勤怠ソフトからデータ取込(API・CSV) | |
○ | 有給休暇の管理 | |
× | 有給休暇の自動付与 |
freee人事労務には勤怠管理機能がついています。
freee上で勤怠情報を入力して集計が可能ですが、プランによって出来る事が違います。
従業員の方が打刻をして勤怠を集計する方法はベーシックプランから、勤怠ワークフローの設定や管理監督者・裁量労働制・フレックスタイム制・変形労働制の設定はプロフェッショナルプランからになります。
プラン別の機能一覧は、こちらをご参照ください。
▼freee公式ホームページ:あなたのニーズに応じたfreee人事労務の料金プラン
freee人事労務の勤怠管理では有給休暇の管理は出来ますが、自動付与はできません。
有給休暇をいつ、何日付与するか、失効はいつか、手動で入力する必要があります。
既にお使いの勤怠ソフトがあれば、勤怠ソフトで集計したデータをAPIやCSVで取り込むこともできます。
これまで通りの運用を続けたい場合など、勤怠は既存のソフトで行い、給与計算からfreeeで行うことも多いです。
給与計算
可/否 | 内容 | 備考 |
○ | 基本給や定額手当の自動登録 | |
○ | 勤怠情報取込から、割増や控除の自動計算 | |
○ | (協会けんぽ)料率変更への自動対応 | |
○ | (協会けんぽ)介護保険の自動追加 | |
○ | (住民税)月ごと登録 | 年2回以上の変更にも対応可 |
× | (組合健保)料率・金額変更への自動対応 | 手動で行う必要あり |
× | (定額制の健康保険)介護保険の自動追加・社会保険の当月徴収 | 手動で行う必要あり |
× | 月途中での入退社における、固定手当の自動日割り計算 | 手動で行う必要あり |
基本給や定額の手当は、一度登録すれば同じ金額が自動で登録されます。
freee人事労務に勤怠情報を取り込み、割増や控除を自動で計算させることもできます。
社会保険の控除額は、料率や金額で設定することができます。
協会けんぽの場合は、都道府県を選択することで料率が自動で設定されます。料率変更にも自動で対応するため、計算の間違いもありません。
従業員の生年月日を登録しておけば、介護保険が適用される月も自動で判定し、介護保険料が追加されます。
住民税は月ごとに登録ができるので、年に2回以上変更がある場合でも対応できます。
組合健保の場合は手動で設定する必要があるため、注意が必要です。
料率や金額の変更は、手動で行う必要があります。
定額制の健康保険の場合は、介護保険の追加も手動で設定が必要です。
また、社会保険の当月徴収には対応していません。
月ごとの所定労働時間で割増、控除の単価を計算している場合は、freee人事労務で自動計算の設定をすることはあまりお勧めできません。
freee人事労務では月所定労働時間を変更しづらいため、毎月所定労働時間を変更するととても手間がかかります。
割増、控除の計算を別途行うか、月平均の所定労働時間で計算するよう変更することをお勧めします。
月の途中で入退社した場合、固定手当を自動で日割り計算することはできません。
日割り部分を別途計算することで対応できますが、明細を手入力で変更し、手動で給与の再計算を行う必要があります。
割増、控除の計算を別途行うか、月平均の所定労働時間で計算するよう変更をすることをお勧めします。
自動計算の部分が多いですが、使い方を間違えると正しく計算ができない箇所もあります。
導入する際は従来の方法と1~2ヶ月並行運用をして、計算結果が間違いないことを確認しましょう。
振込データの作成
可/否 | 内容 | 備考 |
○ | 給与振込データの作成 | |
○ | 住民税振込データの作成 |
freee人事労務で給与計算を行うと、
- 給与振込データ
- 住民税振込データ
を簡単に作成することができます。
このデータを銀行のネットバンクにアップロードすると、給与計算をした通りに振込先と金額の登録ができ、入力の必要がなくなります。
振込データを使った振込には、総合振込を利用している必要があります。
銀行によってサービス名やサービス内容が異なる場合がありますので、ご利用の銀行にご確認ください。
明細の配布
可/否 | 内容 | 備考 |
○ | 給与明細のWEB配布 | 公開時間設定・メール通知機能あり |
○ | 給与明細の紙配布 | |
○ | 有給休暇残日数の表示/非表示切り替え | |
○ | 従業員へのコメント追加 | |
× | デザインやレイアウトの変更 | 明細は1種類のみ |
給与明細はWEBで配布できます。
WEB明細は、従業員が自分の好きなタイミングでパソコンやスマートフォンから確認できます。
モバイル版 freee人事労務アプリをダウンロードして、アプリ上で確認することもできます。
明細を作って、印刷して、配布する手間は必要ありません。
明細の公開日時の設定や、従業員へのメール通知機能もあるので、給与計算が完了したら、必要な設定をして公開日を待つだけで明細の配布は完了します。
給与明細は、印刷をして配布することもできます。
freee人事労務では明細が1種類しかないため、デザインやレイアウトを変更することはできません。
表示項目は、有給休暇の残日数は表示するしないを切り替える事ができます。
従業員の方へコメントを追加する事もできます。
所得税徴収高計算書の作成
可/否 | 内容 | 備考 |
○ | 所得税徴収高計算書の作成 | |
× | 紙での印刷 | 転記して利用 |
会社によって、毎月、もしくは半年に1度、従業員から預かった源泉所得税を税務署に納税します。
freee人事労務では、給与や賞与の計算結果から、所得税徴収高計算書を作成することができます。
印刷には対応していないので、所得税徴収高計算書(納付書)へ転記して利用しましょう。
年に1~数回発生する業務
賞与計算
可/否 | 内容 | 備考 |
○ | 賞与計算 | |
○ | 社会保険料の自動計算 | |
○ | 源泉所得税の自動計算 | |
○ | 賞与明細のWEB配布 | |
○ | 振込データ作成 | |
○ | (協会けんぽ)賞与支払届の自動作成 | |
× | (協会けんぽ)賞与不支給報告書の作成 |
freee人事労務では賞与の計算を行うこともできます。
社会保険料が自動で計算され、賞与支給月の前月の給与明細を確定していれば、源泉所得税も自動で計算されます。
給与と同様に、賞与明細のWEB配布や、振込データの作成も出来ます。
協会けんぽであれば、賞与支払届も自動で作成されますが、賞与不支給報告書の作成には対応していません。
年末調整
可/否 | 内容 | 備考 |
○ | 従業員直接入力による年末調整情報回収 | ベーシックプランから |
○ | (上記に不備があった際)freee上での再提出依頼 | ベーシックプランから |
○ | 証明書のデータ提出 | ベーシックプランから ※原本は担当者へ提出必要あり |
○ | (管理者のみ)年末調整全体の進捗をグラフで管理 | ベーシックプランから |
× | (ミニマムプラン)従業員直接入力による年末調整情報回収 | 書類回収後、担当者がfreee人事労務に入力 |
ベーシックプラン以上であれば、従業員に直接情報を入力してもらい、ペーパーレスで必要な情報が回収できます。
本人情報の入力、家族情報の入力、保険情報の入力、住宅ローンの確認と、画面上の質問に答えるだけで簡単に登録ができます。
不備がある場合もfreee上で再提出の依頼ができます。
証明書をデータで提出する事も出来ますが、原本は担当者への提出が必要です。
管理者は、年末調整全体の進捗をグラフで確認することができます。
freee人事労務での年末調整の流れはこちらをご覧ください。
▼freeeヘルプセンター:freee人事労務での年末調整の流れ
ミニマムプランの場合は、従業員自身のデータ入力に対応していないため、書類を回収して担当者がfreee人事労務に入力をする必要があります。
また、freee人事労務で年末調整を行う場合は、計算期間内に支給されたすべての給与、賞与額が登録されている必要があります。
年の途中からfreee人事労務を導入した場合は、期間内の給与情報はすべて登録しておきましょう。
社会保険の定時決定
可/否 | 内容 | 備考 |
○ | (協会けんぽ)定時決定書類の自動作成 |
協会けんぽであれば、毎月の給与計算のデータを反映し、定時決定の書類が自動で作成されます。
年末調整と同様に、計算期間の給与すべてがfreee人事労務に登録されている必要があります。
ただ、勤怠情報を別ソフトで管理している場合など、必要な情報がfreee人事労務上に全て登録されていないと、書類が正しく作成されないことがあります。
提出前に必ず確認をするようにしましょう。
労働保険の年度更新
可/否 | 内容 | 備考 |
○ | 労働保険の年度更新における、申告書記載項目のデータ作成 | 転記により申告書作成 |
労働保険の年度更新を行う場合は、給与計算のデータからfreee人事労務が申告書の元となる数字を作成してくれるので、それを転記して申告書が作成することができます。
年末調整や定時決定と同様に、計算期間の給与すべてがfreee人事労務に登録されている必要があります。
また、勤怠情報を別ソフトで管理している場合など、必要な情報がfreee人事労務上に全て登録されていないと、書類が正しく作成されないことがあります。
提出前に必ず確認をするようにしましょう。
都度発生する業務
従業員の変更事項の手続き
可/否 | 内容 | 備考 |
○ | 従業員の情報変更時における、freee人事労務から給与計算への自動反映 | |
× | 締め日途中での給与額の変更 | 別途計算必要あり |
基本給や各種手当の金額が変更になった場合、freee人事労務に登録すれば自動で給与計算に反映されます。
月ごとにマスターデータを持っているので、次回以降の給与計算から変更する場合も、事前に登録することができます。
ただし、締め日途中での給与額の変更には対応していないため、その場合は別途計算をする必要があります。
社会保険の随時改定
可/否 | 内容 | 備考 |
○ | (協会けんぽ)freee人事労務から月額変更届の作成 | |
○ | 随時更新対象者向けのアラート |
協会けんぽの場合、月額変更届をfreee人事労務から作成することも出来ます。
また、随時改定の対象者がいる場合は、freee人事労務がアラートを出してくれるため、書類の提出忘れを防ぐこともできます。
入社手続き
可/否 | 内容 | 備考 |
○ | 入社情報を本人が直接freee人事労務に登録 | |
○ | 社会保険の資格取得届作成 | ベーシックプランから |
○ | 雇用保険の資格取得届作成 | ベーシックプランから |
○ | 住民税の特別徴収への切り替え申請書作成 | ベーシックプランから |
× | 月の途中入社の場合の日割り計算 | 別途計算必要あり |
入社の際は、提出してもらった資料を担当者が登録する方法の他に、本人に直接freee人事労務に登録してもらう方法があります。
また、ベーシックプラン以上であれば、入社時に提出が必要な書類をfreee人事労務で作成可能です。
- 社会保険の資格取得届
- 雇用保険の資格取得届
- 住民税の特別徴収への切り替え申請書
等が作成できます。
詳しくは、以下をご確認ください。
月の途中で入社した場合の日割り計算には対応していないので、別途計算をする必要があります。
退社手続き
可/否 | 内容 | 備考 |
○ | 退社手続き後の源泉徴収票発行 | |
○ | 社会保険の資格喪失届作成 | ベーシックプランから |
○ | 雇用保険の資格喪失届作成 | ベーシックプランから |
○ | 雇用保険の離職証明書作成 | ベーシックプランから ※専用の用紙へ転記必要あり |
× | 月の途中退社の場合の日割り計算 | 別途計算必要あり |
× | 退職金の計算 |
退職手続きを行うと、源泉徴収票を発行することができます。
また、ベーシックプラン以上では、
- 社会保険の資格喪失届
- 雇用保険の資格喪失届
- 雇用保険の離職証明書
が作成できます。
離職証明書については、作成された書類を参考に専用の用紙への転記が必要です。
月の途中で退社した場合の日割り計算には対応していないので、別途計算をする必要があります。
また、退職金の計算には対応していません。
freee人事労務の価格
プラン
freee人事労務には、
- ミニマム
- ベーシック
- プロフェッショナル
- エンタープライズ
の4つのプランがあります。
プランによって出来る事も金額も大きく異なります、詳しくはこちらをご確認ください。
▼freeeヘルプセンター:freee人事労務のプラン・料金について
作成できる書類の種類も、プランによって異なります。入退社に関わる書類の作成は、ミニマムプランではほぼ対応していません。
作成書類の一覧については、こちらをご確認ください。
▼freeeヘルプセンター:freee人事労務で作成できる書類・行える手続き
freee人事労務を利用する目的が、「給与計算・年末調整・入退社手続きをfreeeで自動化したい」であれば、ベーシックプランで十分だと思います。
プランによる違いは、今後記事を掲載予定です。
従量課金
給与計算対象の従業員が4名以上の場合、4人目以降は1人につき追加料金がかかります。
金額はプランによりますが、1人につき300~700円が加算されます。
まとめ
freee人事労務で出来る事、出来ない事をこれまでの導入経験を踏まえて書いてみました。
貴社で導入するイメージはわきましたか?
導入前に、自社の勤怠管理、給与計算、労務管理がそのままfreeeで運用可能か、それともfreeeに合わせて管理方法の変更が必要か確認しておきましょう。
ここには書ききれなかった出来ること出来ないこともありますので、まずは1ヶ月無料で使ってみることをお勧めします。
エスアンドシーではfreee人事労務の導入サポートも行っています。
使ってみたいけど不安があるという方は、ぜひ一度ご相談ください。