freee会計で預金の入力!キホンのキ

この記事の監修

宮田夢姫

株式会社エスアンドシー 事業推進部コンサルタント
宮田夢姫

創業期の会社から上場企業まで、クラウド会計ソフトの導入支援を中心に会計数値の早期化のための仕組みづくりや、バックオフィスの業務改善コンサルティングを行っている。
freee認定アドバイザーのアドバイザーとして、認定アドバイザー向けのセミナーに多数登壇。また、freee公式サイトのアドバイザーガイドにて、freeeの効率的な使い方や設定方法についての解説も行っている。

経理業務において、「預金の帳簿付け」はどんな会社でも必ず通る道。

預金の流れは正確に、できるだけリアルタイムで把握しておきたいですよね。

実は、この預金の入力こそ、freee会計の本領を最も発揮できるといっても過言ではありません。

今回の記事では、freee会計での基本的な預金の入力方法と、よくあるケースをピックアップした「こんなときどうする?」の解決方法をご紹介します。

 

freee会計に口座を登録しよう

預金口座の登録

預金を入力するということは、当然ですが銀行口座があるはず。

というわけで、とにもかくにも、まずはfreee会計に口座を登録しましょう。

複数の口座がある場合、事業で利用する口座はもれなく全て登録しましょう。

個人事業主の方は、事業用の口座とプライベート用の口座をきっちり区別するのが望ましいです。

事業用口座のみの登録で済み、普段の経理業務がとても楽になります。

 

ちなみに、freee会計には、銀行口座の他にも「口座」と呼ぶものがいくつか存在します。

freeeヘルプセンター:「口座」について

 

ネットバンキングのすゝめ

「インターネットバンキング」をご存知ですか?

どこかで一度は耳にしたことがあるかもしれません。

インターネットバンキングとは、パソコンやスマートフォンから、インターネット上で銀行の取引や残高照会を利用できるサービスのことです。

今や、多くの銀行がインターネットバンキングに対応しています。

また、実店舗がなく完全にインターネット上での取引が中心となっている「ネットバンク」も増えています。

 

以下のように、ネットバンキングには経理上たくさんのメリットがあります。

  • freee会計と連携することで入力操作が不要に!

入力ミスのリスク削減、経理業務の時間短縮につながります。

  • 取引の登録を自動化!

毎月定型的に発生する取引は、freee会計で自動登録ルールを作っておくことで、登録を完全に自動化できます。(自動登録ルールについては、後ほど詳しく解説します。)

  • 銀行窓口へ行く必要ナシ!

窓口へ行かなくても、取引の確認や支払いができます。税金の納付もインターネット上で済んでしまいます。

  • 振込手数料がおトク!

銀行にもよりますが、ネットバンキングやネットバンクの取引は振込手数料がおトクなことが多いです。

 

ネットバンキングと組み合わせることで、freee会計の威力は倍増します。

ご利用の銀行がインターネットバンキングに対応しているか、ぜひチェックしてみてください。

 

freee会計での預金の入力

前項でおすすめしたように、freee会計ではネットバンキングの登録がイチオシです。

ネットバンキングなら明細を取得してfreeeへアップロードすることもできますが、明細には照会できる期限があるため、取り込み忘れを防ぐためにも同期が一番おすすめです。

もし同期に対応していない場合は、明細を取得できる口座であれば、明細アップロードがおすすめです。

もちろん、手動で取引を登録していくこともできます。

 

それでは、それぞれの入力方法を詳しく解説していきます。

 

freee会計と同期する

freee会計と銀行口座を同期させると、取引入出金の明細がリアルタイムで反映されます。

まず、ホーム画面左側の、連携した銀行口座を見ると・・・

操作画面

画像のようにオレンジ色の数字が表示されています。

「“同期されて取得したデータ=帳簿へ未登録の取引” が19件ある」という状態です。

 

「19」の数字をクリックすると、自動で経理の画面が開きます。

操作画面

 

ここで、いくつかポイントがあります!

 

ポイントその1 登録の種類

操作画面

取引の「詳細」から開いた画面の一部です。

画像のように、登録の種類は3つあります。適切な方法で登録しましょう。

 

  • 取引登録

一般的な入金や支払の登録です。

 

  • 口座振替・カード引き落とし

freee会計上で「口座」として登録したもの間で移動があった場合の登録です。

特に資金移動については、記事の後半「こんなときどうする?」で詳しく解説します。

 

  • 未決済取引の消込

事前に未払や買掛、売掛など、決済が済んでいないものとしてfreee会計上で登録していた取引を決済済みにする登録です。

 

ポイントその2 金額の入力

預金の入力詳細画面では、内容の入力をプラス・マイナスに分けて行います。

支出取引と収入取引の例を挙げますので、参考にしてください。

 

例1)家賃20,000円と振込手数料110円の合計20,110円を支払った

操作画面

 

例2)支払報酬22,000円から源泉所得税2,042円差し引いた19,958円を支払った

操作画面

 

ポイントその3 自動登録ルール(イチオシ!)

毎月内容が決まっている取引は、自動登録ルールで帳簿付けまで自動化できます!

  • 毎月の借入返済
  • 定額で支払う家賃
  • 光熱費
  • 頻繁に取引がある仕入先
  • 決まった取引先からの売上入金

などなど・・・

内容をルール化するだけでなく、「帳簿へ取引を登録する」という処理ごとルール化してしまえば、同期データを取得した瞬間に帳簿付けは終わっています。夢のようですね!

 

では、自動登録ルールの作成手順を詳しく説明します。

 

先ほどの自動で経理の画面です。

この時点では、全ての取引がfreee独自の基準による推測で入力されています。

操作画面

 

1件目の取引の「詳細」を開きます。

操作画面

適切な内容を入力します。この取引は借入金の元本返済なので、勘定科目は長期借入金でOK。

 

ここで、登録ボタンを押す前に・・・

画面下部の「取引登録後に自動登録ルールを編集」にチェックを入れましょう!

 

チェックを入れて登録すると、自動登録ルールを作成する画面に移ります。

適切な内容を入れ、設定する をクリックすると自動登録ルール作成完了です。

操作画面

入力項目をそれぞれ確認していきましょう。

①取引内容

この取引は、取引内容となる銀行明細の文言が「シヨウガシ 〇ガツ」と決まっています。

「〇ガツ」の部分は毎月変わるので、「シヨウガシ」のみを「部分一致」とします。(この場合は「前方一致」でもOKです。)

明細の文言の一部が毎月微妙に変わる場合は、「完全一致」にしてしまうとせっかく作ったルールがうまく働かなくなってしまいます。ご注意ください。

 

②金額

今回の借入返済のように毎月元本75,000円と金額が決まっている場合は、下限・上限ともに75,000円とします。

 

③優先度

数字が大きいほど、自動登録ルールの中で優先的に適用されるようになります。(デフォルトでは0になっています。)

少し細かい話になりますが、今回の「シヨウガシ」という文言は、別の取引「シヨウガシリソク」にも含まれています。

例えば「シヨウガシリソク」の方にも同じ文言で自動登録ルールを作っていた場合、今回のルールの優先度を上げておくと、まずこちらのルールが適用され、「75,000円」などの条件に合わなかった取引には次の優先度のルールが適用されることになります。

 

④条件に一致したとき行う処理

以下から選択します。

  • 取引を推測する
    作成したルールの内容が入力されますが、自動で経理の画面に残ります。内容は決まっていて、確認してから登録したい場合はこちらです。
  • 取引を登録する
    作成したルールで取引登録まで行われます。自動で経理の画面には残りません。完全に定型的な取引で確認不要、という場合はこちらでも良いでしょう。

取引の内容によっては、ポイント1で紹介したように、その他の処理も選択できます。

 

⑤取引先

こちらを登録しておくと、明細の文言によって自動で取引先が入ります。

 

 

自動登録ルールが適用された取引は、自動で経理の画面で「自動登録ルールに合致」と表示されます。

操作画面

 

 

以上のように、定型的な取引を網羅して自動登録ルールを作成しておくと「さて預金を入力しようかな?」とfreee会計で銀行口座を確認したとき、すでに大部分の処理が済んでいるはずです。

何もしなくてもfreee会計がどんどん片付けてくれるので、同期が最もおすすめです。

 

自動登録ルールは、freee会計の入力において最も重要なポイントの一つです。

作成のコツについて、以下記事にも詳しくまとめていますのでぜひご参照ください。

 


freee導入支援ガイド:自動登録ルールを使いこなす者がfreeeを制す

 

明細アップロード

同期できない場合には、銀行口座の明細をCSVファイルで取得し、freeeへ取り込むことができます。

(明細を取得できる期間には銀行ごとに期限がありますので、ご注意ください!)

freeeヘルプセンター:freeeに手動でアップロードする明細を用意する

 

以下は、CSV明細の一例です。

操作画面

 

1)口座の明細アップロード画面を表示

ホーム画面左側の各口座にある明細のアップロードのボタンをクリックします。

操作画面

※ホーム画面上部メニューの 口座>口座の一覧・登録>該当の口座 右端の「明細アップロード」からも表示できます。

操作画面

 

2)取得した銀行明細のCSVファイルをアップロードする

(手順1)

操作画面

上の画像のグレー部分をクリックするか、CSVファイルをドラッグし、次へ進みます。

※初回は画像のように「新しい形式のCSVデータを読み込む」を選択します。

 

(手順2)

操作画面

銀行明細のCSVファイルの形式に従って選択します。

 

(手順3)

操作画面

列ごとに項目の内容を指定します。

必要な項目は ①取引日 ②出金額 ③入金額 ④残高 ⑤摘要 の5つです。

他の列に何か入力されていても影響はありません。

※次回以降、(手順2)と(手順3)は省略できます。

 

OKで進むと、明細の内容が取り込まれます。

 

3)アップロードした内容を登録する

この時点で、送信した内容は自動で経理の画面へ、未登録の状態で並んでいます。

同期 の方法で開いた場合と同じ状態です。

あとは同様に、自動登録ルールを設定しながら登録していきます。

freeeヘルプセンター:銀行やカードの明細を手動で取り込む(明細アップロード)

 

手動で取引を登録

ご利用の銀行口座がどうしても連携できない場合は、以下のような方法もあります。

  • 「連続取引登録」で連続して手入力する
  • 「取引の登録」から入力する(よくある取引は、取引テンプレートを作成すると便利です。)

 

こんなときどうする?

freee会計の預金入力で遭遇しやすいケースをピックアップしてみました。

 

資金移動

「銀行口座間で10万円の資金移動があった場合」を例とします。

登録の種類としては「口座振替」になりますが、10万円の出金、入金の明細がそれぞれの口座にあるので、両方を取引登録すると重複してしまいます。

この場合は、以下どちらかの処理を行います。

 

資金移動の口座を作る

資金移動用にfreee会計上の口座を1つ作り、間にはさむ方法です。

この「資金移動」は実際の銀行口座ではなく、「現金・その他」の口座として作成します。

 

出金:振替先口座を「資金移動」とします。

操作画面

 

入金:振替元口座を「資金移動」とします。

操作画面

 

どちらも登録することで、「資金移動」の残高は0になります。

残高をチェックすることで、一方だけ処理を忘れた!といったミスが防げるので、おすすめの方法です。

 

明細を無視

一方の口座振替は正しく登録し、もう一方の明細を登録せずに無視する処理です。

明細を無視すると帳簿には反映されません。

削除とほとんど同じですが、「無視された明細」として明細一覧に残るので、後から確認や取消もできます。

(基本的には、明細は無視をせず全て登録していく方が確実です。資金移動の口座作成を推奨します。)

操作画面

 

 

※上のどちらかの処理をせずに登録した場合、重複の分を登録しようとした時点で、以下のようなアラート画面が出ます。

操作画面

 

 

間違えて登録してしまった!

誤って登録してしまった取引は、freee会計への入力方法によって修正手順が異なります。

 

自動で経理から登録(同期、明細アップロード)

取引の登録

取引の一覧から該当の取引を開いて修正します。

操作画面

 

科目や金額内での内訳修正、タグの追加などが可能です。また、口座振替へ変更することができます。

取引内容や全体の金額の修正はできません。

削除をすると、自動で経理の画面へ戻ります。

 

口座振替

取引の一覧(口座振替のタブ)から該当の取引を開いて修正します。

操作画面

操作画面

 

振替先口座の修正ができます。

口座振替の方から取引の登録へ変更することはできません。

削除をすると、自動で経理の画面へ戻ります。

 

未決済取引の消込

決済内容を修正する場合は、一旦決済の取引を解除しましょう。

取引一覧から、該当の取引を開きます。

操作画面

 

明細の詳細 をクリックすると、以下画面が開きます。

操作画面

取引登録解除 をクリックすると、決済の部分が解除され、自動で経理画面へ戻ります。

 

ワンポイント!

未決済取引を手動で登録していた場合、「取引登録解除」をせずに取引の削除を行うと、未決済取引(発生分)ごと削除されてしまいます。ご注意ください。

 

手動で登録

取引の一覧から該当の取引を開いて修正します。

操作画面

 

支出⇔収入を逆転させたり、口座振替へ変更することができます。

その他、ほとんどの内容を変更することができます。

「決済」段の右の編集より、決済口座を変更することもできます。

 

取引を削除すると、帳簿から完全に削除されます。

手動で登録した取引を削除すると、freee会計上から完全に消えてしまいますのでくれぐれもご注意ください!

 

残高のチェック

同期していない場合

銀行口座を同期していない場合は、freee会計の現預金レポートと通帳を照合してチェックしましょう。

以下のメニューから表示できます。

操作画面

 

もちろん試算表や総勘定元帳と通帳でチェックしてもOKです。

 

同期している場合

freee会計と銀行口座を同期している場合は「タイムライン」という画面から、2つの残高を確認できます。

  • 登録残高=帳簿へ反映されている残高
  • 同期残高=銀行から取得した明細の残高

この2つに差異がないか比較することで、実際の取引に対し、過不足なく帳簿に登録できているかどうかが分かります。

 

ホーム画面左側か、口座メニュー>口座の一覧・登録から、該当の口座をクリックし、タイムラインのタブで表示します。

また、画像のように、試算表の該当口座からも表示が可能です。

操作画面

 

以下がタイムラインの画面です。

操作画面

パッと見て、8月まで全て帳簿へ反映されていることが分かります。

 

細かく1日ずつ確認することもできます。

操作画面

 

残高が合わない?原因と修正の例

原因:本来は取引登録が必要な明細を無視している

修正:無視の取消をしましょう

 

口座メニュー>明細の一覧

該当の取引明細を探します。種別を「無視のみ」とし、内容に応じて絞り込むと分かりやすいです。

操作画面

画像のように左端にチェックを入れ、一括操作の中から「無視の取消」をクリックすると、自動で経理の画面へ戻ります。

改めて正しい登録をしましょう。

 

原因:口座振替の登録を重複させている

修正:取引を一方だけ削除し、自動で経理の画面から明細を無視しましょう

 

原因:明細の期間が飛んでいる

長期間、銀行口座との同期が外れてしまうと、明細を取得できる期限を過ぎてしまい、帳簿への反映が部分的に抜けてしまう可能性があります。(取得可能期間は銀行ごとに異なります。)

定期的な同期や明細の取得をしましょう。

 

まとめ

預金の会計ソフトへの入力は、経理業務の中でもなかなかボリュームのあるものです。

が、ちょっと本腰を入れて自動登録ルールを整備してみると、驚くほど自動化が進むはずです。

freee会計との同期&自動登録ルールで、さらなる業務の効率化を目指しましょう!