MFクラウド会計からfreeeへのデータ移行の方法。決定版!

この記事の監修

宮田夢姫

株式会社エスアンドシー 事業推進部コンサルタント
宮田夢姫

創業期の会社から上場企業まで、クラウド会計ソフトの導入支援を中心に会計数値の早期化のための仕組みづくりや、バックオフィスの業務改善コンサルティングを行っている。
freee認定アドバイザーのアドバイザーとして、認定アドバイザー向けのセミナーに多数登壇。また、freee公式サイトのアドバイザーガイドにて、freeeの効率的な使い方や設定方法についての解説も行っている。

この記事では、マネーフォワードクラウド会計(以下:MFクラウド会計)からfreee会計へ、会計ソフトを変更しデータを移行する際の手順についてご紹介します。

 

データ移行に手をつける前に、まずは移行する期間とタイミングを決定しましょう。

 

freee会計の試算表では、前期比較・3期間比較の試算表を閲覧することができます。

freee会計への乗せ換え後に何期分の比較をしたいかによって、データ移行の期間を決定します。

できれば前期比較は見られるようにしておくのがベターです。

操作画面

移行するタイミングとしては、元の会計ソフトで月次の数字が締まっている月を境目とすると良いでしょう。

 

それでは、移行する期間とタイミングが決まったら早速、データ移行を開始しましょう。

 

1. freeeの初期設定を行う

データ移行をおこなう際に最低限必要な設定を行いましょう。

 

freeeで事業所の設定を行う

設定>(基本設定)事業所の設定>詳細設定 より、2つの設定を行います。

操作画面

操作画面

 

会計期間を設定する

詳細設定>会計期間設定 より、freee会計を利用する会計期間を設定します。

ここでは、先ほど決めたデータ移行の対象期間に合わせた会計期間を設定しましょう。

進行期で前期比較を行うために前期分から入力する場合は、前期の会計期間を設定します。

 

消費税設定をする

詳細設定>年度毎設定 より、消費税関係の設定を行います。

消費税課税方式・簡易課税用事業区分(簡易課税の場合)・消費税経理処理方法・消費税端数処理方法をそれぞれ必要に応じて選択・保存しましょう。

 

製造原価の設定をする(製造業・建設業向け)

製造業・建設業で製造原価科目を使用する必要がある場合、設定が必要です。

詳細設定>取引関連設定 より、「製造業向け機能」を「使用する」にしましょう。

操作画面

 

freeeに口座を登録する

口座>口座の一覧・登録 より、口座の登録を行います。

銀行口座・クレジットカード・現金について、すべて口座を作成しておきましょう。

ネットバンキングを利用していない銀行口座についても、データ移行の際に必要となるため、ここで作成しておくことをオススメします。

freeeヘルプセンター:銀行やクレジットカードを登録する(口座を登録)

操作画面

 

2.MFクラウド会計からデータをエクスポートする

freeeの設定が終わったら、いよいよデータ移行です。

まずは、MFクラウド会計から、freeeに取り込める形式でデータを出力していきます。

 

開始残高のエクスポート

freeeへ開始残高を登録する方法は2種類あります。

①手入力で設定する方法

②他社ソフトから出力したCSVファイルをインポートし設定する方法

 

MFクラウド会計から移行する場合は、②の方法で行いますので、まずは開始残高のデータをエクスポートしましょう。

MFクラウド会計の、会計帳簿>残高試算表 へ進みます。

操作画面

 

「補助科目を表示」のチェックを外したもの、チェックを付けたままのものをそれぞれ、エクスポート>貸借対照表(CSV)よりエクスポートします。

操作画面

 

ストレージの画面へ遷移するので、データの準備ができ次第「ダウンロード」します。

操作画面

 

仕訳データのエクスポート

MFクラウド会計の、各種設定>他社ソフトデータの移行 より、「弥生会計」へ進みます。

(※一度、MFクラウド会計・freeeの両方と互換性の高い弥生会計形式を経由させます)

※候補に「freee」がありますが、こちらはfreee→MFクラウド会計の場合のページですので、今回は弥生会計を選択します。

操作画面

 

仕訳をエクスポートします。

操作画面

 

以下のように設定します。

  • 書式:汎用形式
  • 開始残高・未実現仕訳はエクスポート対象に含めない

操作画面

 

ストレージの画面へ遷移するので、データの準備ができ次第「ダウンロード」します。

操作画面

 

仕訳データのエクスポートについては、移行したい期間分だけMFクラウド会計上の年度を切り替え、同じ作業を繰り返して出力しましょう。
年度の切り替えは、MFクラウドの画面の右上、年度表示の左右の「<」「>」より行えます。

操作画面

 

3.freeeへデータをインポートする

必要なデータがMFクラウド会計から出力できたら、freeeへインポートしていきましょう。

 

開始残高のインポート

設定>開始残高の設定 へ進み、「他社の会計ソフトから乗り換えの方」へ進みます。

操作画面

操作画面

 

手順に沿って進みます。

操作画面

①乗り換え元の会計ソフト

その他会計ソフトを選択します。

②出力したデータを手元に用意してください。

③CSVファイルのアップロード

残高試算表・補助残高一覧表の2回に分けてインポートします。

まずは残高試算表のCSVファイルをアップロードしましょう。

残高試算表のインポートが完了したのち、補助残高一覧表を用いて同様の手順を繰り返します。

④各列の読み込む項目を設定

勘定科目(・補助科目)・残高 を選択し、取り込まない行を「無視」とします。

「設定する」をクリックし、エラーが出たら解消していきます。

 

うまく取り込めない場合は、以下のヘルプページを参考にCSVを加工しましょう。

freeeヘルプセンター:その他の会計ソフトから開始残高を移行する

 

ポイント ⑤新規データの設定

freeeで作成していない勘定科目・補助科目を新規作成したり、MFクラウド会計と名称が異なる勘定科目の変換処理を行うことができます。

 

残高試算表のインポート時

科目の新規作成・変換を行いましょう。新規作成と変換については「切替」より変更できます。

初期設定時に口座を作成した「普通預金」等については、補助残高のインポートの際に口座を割り当てていきますので、一旦決算書表示名を「現金及び預金」として保存しましょう。

操作画面

 

また、「詳細設定」より、追加する勘定科目の細かい設定が可能です。

相手勘定科目・税区分の設定が必要な場合は詳細設定を行いましょう。

操作画面

 

補助残高一覧表のインポート時

口座への変換・タグ(補助科目)の新規作成を行いましょう。

普通預金の補助科目(〇〇銀行)や、未払金の補助科目(××カード)は、それぞれ口座として登録します。(※この時に、口座の作成に不備があると変換設定ができません。)

 

その他の勘定科目の補助科目は、それぞれ性質によって取引先、もしくは品目として登録します。

freeeヘルプセンター:「タグ」について

操作画面

操作画面

 

以上を設定し登録すると、インポート処理が行われます。

無事インポートが完了すると、ステータスが「インポート済み」「登録済み」となります。

残高試算表・補助残高一覧表の2度のインポートを終えると、インポート履歴は以下のようになります。

操作画面

 

設定>開始残高の設定 もしくは レポート>試算表 へ進み、正しく残高が設定されていることを確認しましょう。

 

仕訳データのインポート

仕訳データのインポートは、最大でも1期ずつ行いましょう。

また、仕訳数が多いと動きが重くなってしまうので、数ヶ月ずつに分けて取り込むこともお勧めします。

 

設定>乗り換え設定 へ進みます。

操作画面

 

乗り換え元の会計ソフトを「弥生会計」とします。

②~⑤は「スキップする」にチェックを入れ、⑥仕訳データをインポート へ進みます。

操作画面

 

MFクラウド会計からエクスポートした仕訳データをアップロードします。

6-2 勘定科目・税区分の確認・修正 より、勘定科目や補助科目、税区分の変換・追加を行いましょう。

操作画面

 

●補助科目の場合

口座への変換・タグ(補助科目)の新規作成を行いましょう。

開始残高が存在せず開始残高インポート時に作成されなかった補助科目について、こちらで作成していきます。

また、普通預金の補助科目(〇〇銀行)や、未払金の補助科目(××カード)は、それぞれ口座として登録します。(※この時に、口座の作成に不備があると変換設定ができません。)

その他の勘定科目の補助科目は、それぞれ性質によって取引先、もしくは品目として登録します。

freeeヘルプセンター:「タグ」について

操作画面

 

6-3 登録 より登録すると、仕訳データのインポートが行われます。

freeeヘルプセンター:弥生会計から仕訳データを移行する

 

4.取り込んだデータを確認する

仕訳データがインポートできたら、インポート結果を確認しましょう。

 

会計帳簿の確認

会計帳簿>試算表 や、会計帳簿>月次推移 などを開き、損益科目や貸借科目の金額が正しく入っているかどうか確認しましょう。

操作画面

なお、ここで勘定科目カテゴリや決算書表示名の誤りを発見した場合は、下記のヘルプページの手順に沿って変更しましょう。

freeeヘルプセンター:【法人】勘定科目の決算書上の表示名を確認・変更する

 

年度締めの処理を行う

前期以前のデータを取り込んでいる場合、1期取り込むごとにこちらの処理を行いましょう。

移行元のデータ(MFクラウド会計)と、移行後のデータ(freee)の金額の一致が確認できたら、決算申告>年度締め より、年度締めを行います。

年度締めが完了したら、次の期の仕訳データのインポートを引き続き行ってください。

freeeヘルプセンター:【法人】年度締めを行う

 

こちらの記事の「2-4 次年度に移るときは会計期間の変更ではなく「年度締め」」にも、年度締めについて記載がございます。

freee会計で会計期間を設定・変更したい時は?使い方と注意点を解説!
freee導入支援ガイド:freee会計で会計期間を設定・変更したい時は?使い方と注意点を解説!

 

操作画面

以上で、MFクラウド会計からfreeeへのデータ移行は完了です。

 

5.MFクラウド会計からfreeeへの移行時のコツ

勘定科目・タグ(補助科目)の追加は、データ移行時に行うべし

freeeの他社ソフトデータの移行を行う際の「乗り換え設定」のページには、勘定科目や補助科目の一括インポートをする画面もあります。

しかし、それらの追加は開始残高の設定および仕訳データのインポート時に行うことをオススメします。

 

以前の会計ソフトの中でも、使用していない勘定科目や、使わなくなった補助科目が残っていることが多いため、一括インポートをしてしまうと不要な科目までインポートされてしまいます。

前期データ等のインポートの画面から作成を行うことで、直近で実際に使用した科目だけをピックアップして作成することができるのです。

 

データ移行前に、科目体系や補助科目の整理を行うべし

勘定科目や補助科目の体系は、一度会計ソフトで運用を開始すると、後から修正しようと思っても大変な手間と時間がかかってしまいます。

体系を変えたり、科目を整理しようと考えている方は、会計ソフトの乗せ換えを行うこの機会に行いましょう。

 

タグの運用方法を検討すべし

freeeには、「取引先・品目・部門・セグメント(※)・メモタグ」の5つのタグがあります。

内訳を取ったり、分析するためにはタグをどのように運用するかがカギとなってきます。

freeeの運用を始める前に、それぞれの性質を理解して、運用方法を検討しましょう。

freee会計スタートガイド:タグの設定

 

※セグメントはプロフェッショナルプラン以上

プランについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

freee会計を導入する法人にお勧めの料金プランはこれだ!
freee導入支援ガイド:freee会計を導入する法人にお勧めの料金プランはこれだ!

 

最後に

以上、マネーフォワードクラウド会計からfreee会計へ、会計ソフトを変更しデータを乗せ換える際の手順についてご紹介しました。

新しい会計ソフトを使用し始める際は、このように過去データを移行し、前期比較を見れるようにしておくことをオススメします。

 

株式会社エスアンドシーでは、freee会計の導入支援やデータの乗せ換えのサポート、freeeの運用方法の相談など、幅広くサポートしております。

ぜひお気軽にお問い合わせください。