freee会計経費精算の使い方~始める前に押さえるべき6つの設定~

この記事の監修

伊藤桜子

伊藤会計事務所 税理士 伊藤桜子

1990年 神戸大学法学部卒業。神戸市役所勤務、税理士事務所勤務を経て、2008年 福岡市中央区薬院にて伊藤会計事務所開業。
顧問先の100%黒字化を目指して、数値の早期化に取り組んでいる。DXによる業務改善を推進し、ペーパーレス、記帳代行業務の製販分離、クラウド会計の導入、kintoneによる業務一元管理などを実現してきた。
資金調達、税務相談、経理サポート、場所の提供(コワーキングスペース)など創業期に抱える問題を解決できるサービスも提供している。

freee会計の経費精算機能を使うなら初期設定が重要です。

このブログでは

  • freee会計の経費精算機能の初期設定は何をしたらいいのか
  • 各初期設定のポイント
  • ポイントを押さえ初期設定を行うメリット

について説明していきます。

もし、freee会計の経費精算についてまだイメージが掴めていない方は、先に「freee導入支援ガイド:経費精算をfreee会計でするメリットや機能について知ろう」をご覧ください。

経費精算をfreee会計でするメリットや機能について知ろう
▼freee導入支援ガイド:経費精算をfreeeでするメリットや機能について知ろう

 

初期設定の流れ

初期設定でやることは6個あります。

下記の流れで進めていただけると、スムーズに設定を行うことができます。

 

① 権限の設定

② 申請経路の新規作成

③ 経費精算の設定

④ 申請経路の金額分岐設定

⑤ 経費科目の設定

⑥ 従業員招待

 

順番に説明していきますので、管理者権限、または各設定の登録修正が可能な権限を有しているアカウントで設定していきましょう。

 

①権限の設定

権限設定とは役職や役割に応じてfreee会計の機能の権限をカスタマイズすることです。

実際に権限を付与するのは従業員招待の部分で説明いたしますので、ここでは権限設定の注意点と権限カスタマイズの方法について説明いたします。

注意点

全従業員を同じすべての機能が使える権限を与えてしまうと、全員が経費精算に関係ない情報が見えて情報漏洩になってしまったり、取引の登録などができてしまいます。

freee会計の経費精算機能のみで言うと最低限用意すべき権限は、申請者の権限と申請と承認をする者の権限と経理担当者の権限ですので、役職・役割に応じた権限を設定していきましょう。

 

freee会計には予め5つの権限が用意されています。

  • 申請・承認者には「申請:承認」権限
  • 経理担当者には「一般」又は「管理者」権限

を従業員招待の時に付与しましょう。

権限の違いについては下図の概要やfreeeのヘルプページをご覧ください。

freeeヘルプページ:権限管理で設定できる項目

操作画面

 

カスタム権限管理のやり方

freee会計の法人ベーシック以上のプランの方と、個人プレミアムプランをご利用の方は、詳細な権限をカスタマイズした権限セットを作ることができます。

これをカスタム権限管理といいます。

閲覧、登録、編集、削除などの権限を、経費精算、ファイルボックスなどの各項目ごとに付与する事ができます。

 

1. 設定 > 基本設定 > メンバー招待・権限管理 > プロダクト管理 > 権限管理 > 権限管理 より、既存の権限セット一覧が表示されます。

2. 今から作る権限セットの元になる権限セットをのコピーをクリックします。

操作画面

 

3. 各項目の入力・権限の選択をし保存したら作成完了です。

権限の項目は50項目以上あり、詳細な設定ができます。

操作画面
(申請・承認の権限をコピーしたもの)

 

ポイント

「権限選択」で申請(経費精算・支払依頼・各種申請)の「自分のみ」のチェックをオンにすると、自分が出した申請と自分が承認者になっている申請の閲覧のみを可能にすることができます。

オフにすると全従業員の申請状況の確認が可能になります。

②申請経路の新規作成

申請経路の新規作成とはfreee会計上での申請(経費精算以外に支払依頼と各種申請もあります)を、どのような条件や順番で承認するのかを設定できる機能です。

承認パターンが4つあり、プランによって数段階組み合わせた申請経路を作ることができます。

① 役職・部門指定(※)・・・人事労務freeeを利用している場合、人事マスタより部門長などを自動参照する

② 個別指定・・・必要な承認メンバーを指定する

③ AND承認(※)・・・承認者全員の承認を必要とする

④ OR承認(※)・・・承認者のうち1名の承認を必要とする

※①③④は法人のプロフェッショナルプラン以上で利用可能です

承認の種類があるメリット

経費精算の申請経路を設定し、承認者のチェックを通す事は、不正な申請や入力が漏れている申請を、経理担当者に提出されることを防ぐ事に繋がります。

申請者の部門や申請フォームごとに申請経路を設定しチェック体制を整えましょう。

申請経路作成のやり方

1. 申請経路の権限があるアカウントでfreee会計にログインする

2. 設計>データの設定>申請経路の設定>新規作成より設定する

3. 申請経路名と申請経路の説明を記入する

操作画面

 

4. 1人目の承認者の設定をします

  • メンバー指定
  • 申請時にメンバー指定
  • 役職指定(申請者の所属部門)
  • 役職指定(申請時に部門指定)
  • 部門および役職指定

の中から1つ選びます。

どれを選択するかによって下のように表示が変わってきますので、指定した方法ごとにアドレス・役職・部門・AND承認・OR承認などを設定してください。

 

  • メンバー指定
    2名以上指定するとAND承認・OR承認の項目が出てきます。

操作画面

  • 申請時にメンバー指定

操作画面

  • 役職指定(申請者の所属部門)
    ・人事労務freeeの登録内容を参照します
    ・指定した役職が所属部門内に存在するかどうかを申請時に取得することで、承認者を指定します。

操作画面

  • 役職指定(申請時に部門指定)
    ・人事労務freeeの登録内容を参照します
    ・申請者が部門名を指定し、ここで指定した役職名と合わせて承認者を指定します。

操作画面

  • 部門および役職指定
    ・人事労務freeeの登録内容を参照します
    ・部門名と役職名で承認者を指定します。

操作画面

5. 2人目以降の承認者を設定する場合は
「+承認ステップを追加する」をクリックして、1人目のように承認者の指定をしていきましょう。

6. 設定している承認経路を適用する申請フォームの選択をしましょう

7. 保存を押して終了です

 

注意点

注意点は2つあります。

  • ベーシックプランは個別指定を1段階指定する機能しか使えません。
  • 人事労務freeeを使っていないと役職や部門の指定が使えません。
    freee人事労務の従業員情報登録は無料でご利用いただけます。
    freeeヘルプページ: 部門役職データ連携について

③経費精算の設定

経費申請は、フォーマットが固定されています。

設定できるのは固定されているフォーマットの各項目の入力を、必須・任意・非表示のどれにするか選択することです。

これを入力統制と言います。

入力項目設定をしておくと

必ず入力して申請してもらいたい部分を必須にしておけば、入力漏れの防止ができます。

入力が不要な項目を非表示にする事で、無駄な入力作業を無くす事ができます。

再申請や修正の「二度手間」を減らすために、設定しておきましょう。

経費精算設定のやり方

1. freee会計 > 設定 > 申請フォームの設定 > 経費精算より、入力統制をおこなう申請フォームを選択します。

2. 選択した申請フォームの設定>編集より、各入力項目の設定を行い、保存してください。

操作画面

④申請経路の金額分岐設定

法人のエンタープライズプランには申請フォームの合計金額によって、承認ルートが自動で分岐する機能があります。

申請経路を設定しておくと

「何万円以上の申請は○○さんに承認をもらう」というルールのある会社の場合、経費精算の合計金額を元に手動で申請経路を選択する必要がなくなり便利です。

申請経路の金額分岐設定のやり方

1. 事前に金額パターンごとに申請経路を作成しておく

2. freee会計 > 設定 > 申請フォームの設定より、金額分岐を設定したい申請フォームをクリックします

3. 選択した申請フォームの設定 > 編集 > 経路の自動選択ルールより、「+ルールを追加」をクリック

4. 分岐の基準になる金額と基準金額以上の申請の申請経路を選択して保存します

操作画面

ポイント

  • 条件を複数設定したい場合は「+ルールを追加」を再度クリックする
  • 金額分岐の条件は登録した順番で優先されるので、複数金額分岐を設定する場合は、金額が大きい順にルールを追加する

⑤経費科目の設定

経費科目とは、freee会計の経費精算で使う経費内容ごとの勘定科目と税区分の組み合わせを指定することで、従業員などの申請者が、どの科目を選択すればよいのか迷うのを防ぐ機能です。

経費科目を設定しておくと

freee会計では経費精算で承認されたデータが取引(仕訳)に反映されます。

しかし簿記を勉強したことのない人がfreee会計の経費精算で勘定科目を選択すると

  • 申請者が適切な勘定科目と税区分を選べない
  • 間違って勘定科目が選択された申請を経理がチェックや修正する

という、申請者にも経理担当者にも負担になる業務ができてしまいます。

そこで申請者が選択しやすい経費科目とそれに紐づく勘定科目と税区分のセットを作ることで、申請時の科目選択ミスをなくし、スムーズに取引(仕訳)を登録することができます。

経費科目設定のやり方

freee会計 > 設定 > 経費科目の設定 > 経費科目を作成より、必要事項を入力し、保存をクリックします。

操作画面

ポイント

freee株式会社が経費科目の設定例を公開しています。

経費科目設定例

参考URL:freee会計 ワークフロー導入ガイドブック(P24参照)

 

⑥従業員招待

ここまで設定が完了したら、あとは従業員の招待だけです。

以下の手順で招待しましょう。

また、招待時に①で設定した権限を従業員ごとに付与することができます。

従業員招待のやり方

個別招待の方法を説明します。

1. freee会計 > 設定 > 基本設定 > メンバー招待・権限管理 > メンバー > メンバーの追加

2. 招待する人の権限などを選択して招待メールを送ります

  • メールアドレス・・・招待したい人のメールアドレスを1件手入力
  • 権限・・・権限設定にて作成済みの権限から1つ選択
  • グループ・・・利用できる口座・部門の組み合わせ
  • 属性・・・従業員招待なので内部メンバーを選択

操作画面

次に招待された従業員側の作業です。

1. スマートフォンを使う場合は事前にスマホアプリをインストールしておきましょう。

2. パソコン又はスマートフォンに届いたメールのリンクをクリック
> パスワードの設定を求められるので任意のパスワードを登録
> ログイン画面が開くのでメールアドレスと先ほど登録したパスワードを入力しログイン

 ポイント

個別招待以外にも一括招待というものがあります。

1.freee会計>設定>基本設定>メンバー招待・権限管理>メンバー>その他の操作>ユーザー一括招待

2.テンプレートファイルをダウンロードし、インポート用CSVを作成します

3.ファイル選択よりCSVファイルをアップロードし、一括招待を実行をクリック

 

まとめ

法人と個人のプラン別にできる事できないことをまとめました。

freee会計を既に導入済みであれば利用中のプランにできることを、freee会計の導入を検討中でしたら、自社に必要な機能があるプランはどれなのかをご確認ください。

 

法人 ミニマム ベーシック プロフェッショナル エンタープライズ
経費申請 ×
カスタム権限管理 ○2つまで作成可能
付与した権限の履歴変更 × ×
申請経路変更 △承認者の指定のみ
金額によって申請経路を選択 × ×
独自の申請フォームを作成する
(各種申請)
×

 

個人 スターター スタンダード プレミアム
経費申請 × ×
カスタム権限管理
メンバーの招待+権限付与
独自の申請フォームを作成する ×

 

最低でも従業員招待と簡単な申請経路の設定さえしておけばfreee会計の経費精算の利用開始はできます。

しかし、するとしないとでは同じfreee会計の経費精算でも申請から承認までのスピードや、申請内容の精度が変わってきますので、従業員に申請方法の周知をする前に行うことをオススメします。

 

今回紹介した事以外に、事前にどのような申請方法で経費申請させるのか決める事ができます。

申請方法は複数あり会社ごとに適した申請方法は異なります。

次回のブログでは申請方法についての説明をしていきますので、そちらもご覧いただき、自社に適した申請方法検討の際にご活用ください。